西宮甲東ジュニアラグビークラブ卒業生のその後の活躍に迫る、スペシャルインタビュー。
第6弾は、小学校2年生の8歳から12歳まで西宮甲東JRCに所属し、現在は日本のハブ空港である成田空港でグランドスタッフとして活躍されている井口 愛琳(あいり)さんにお話をうかがいました。
◎井口 愛琳さん◎

*8歳のときから本格的にラグビーを始め、弟の仁くんと共にチームに在籍しました。果敢にタックルに向かう愛琳さん(手前の白ヘッドキャップ)。
西宮甲東JRCでラグビーを
はじめたきっかけは?
Q:インタビューを受けて頂き、ありがとうございます!愛琳さんが、西宮甲東に入部したきっかけや、当時の甲東の様子はどうでしたか?
A:ラグビープレーヤーだった祖父や母の影響で、幼少期からラグビーには常に触れて来ましたが、たまたま家の近くで西宮甲東が主催しているラグビーカーニバルに友達に誘われて参加したことがきっかけです。小学校2年生で西宮甲東でラグビーを始め、中学3年生を卒業するまで続けました。6年生の時は、女子で初めてのキャプテンも務めさせていただき、仲間たちやたくさんのコーチ、育成会のお母さんたちに囲まれて楽しくラグビーを続けられました。中学では、私の1年前に発足した西宮ジュニアラグビークラブへは所属せず、ガールズ兵庫でラグビーを続けました。
西宮甲東JRCでの
一番の思い出はなんですか?
Q:愛琳さんの学年は、それまでで一番女子選手の多い学年でしたよね。1学年上だった私の甥の学年は男の子ばかりだったので、華やかで可愛い女子が優しい男子をぐいぐい引っ張っているイメージで頼もしかったです(笑)。愛琳さんは、お祖父様とお母様がラグビープレーヤーというご家庭で、まさに赤ちゃんの時から楕円形のボールに触れて成長してきたんだろうなぁと思います。愛琳さんにとって西宮甲東での一番の思い出は何ですか?
A:私たちの学年は、強い学年ではありませんでした。いつも負け試合が当たり前、という悲しい戦績でした(笑)。そんな中で、全員の闘志が一丸となり勝てた試合がありました。その時の感動、嬉しさは忘れることができません。試合で「勝つ」ということの素晴らしさ、勝負に勝つこと以上に、その時にチームに生まれた結束力の偉大さ、そういう唯一無二な経験をラグビーを通してさせてもらえたことが、一番の思い出です。

*向かって左から迅人くん、愛琳さん、壮士くん、健くん、虹太くん。当時の仲間たち。
ラグビーを続けてきて
苦しかったこと
良かったことは?
Q:愛琳さんの学年は、勝ち試合の数がそんなに多くなかったとのこと。だからこそ、勝てた試合はずっと忘れられない、価値あるものとして心に残っているんですね。スポーツにおいて「勝つ」ことは大切ですし、個人もチームもモチベーションを上げていくためにはおざなりにできない側面です。でも、結果にしか目がいかず、それが本当にひとりひとりの心に残る「勝ち」だったのか、にまではなかなか大人も思いが馳せられません。愛琳さんがおっしゃるように、「弱かったからこそ、その一勝の中にいろんな喜びや価値を見出せた」という感覚はとても重要で、今後の人生にもたくさんの気付きを与えてくれると思います。では、これまでラグビーを続けて来て一番苦しかったこと、良かったことを教えてください。
A:苦しかったことは…正直とくに覚えていません(笑)!それに比べて、良かったことは沢山あります!まず一番には、ラグビーに関わってきた中で、多くの人たちと出会えたことです。「ラグビー」というスポーツは、「人間性」が非常に培われる競技だと思います。小学校、中学校でのラグビー活動を通じ、満園さんから様々なことを教えていただきましたが、それはプレー以上に情熱や礼儀、人間性の成長という面をより多く学びました。高校時代の監督だった湯浅先生からも、スキルよりも「人間性」の大切さを学びました。私は、ラグビーを通して指導者のコーチ、先生たちに、小手先のスキルではなく「人としての成長」を先ず鍛えられたことが、本当に良かったと実感しています。

*ガールズ兵庫時代に出場した太陽生命カップ。2列目向かって一番右端が愛琳さん
東海大仰星での
マネージャー経験について
Q:「人間性」を育てるのがラグビー。本当にその通りだと思います。数多あるスポーツの中で、「なぜラグビー?」と問われたら、そんな回答を出してくれるプレーヤーがこれからも増え続けてくれることを願います。厳しいコンタクトを伴うスポーツだからこそ、「人間性」を育てることに意味があるんですね。愛琳さんは、ラグビープレーヤーとしては15歳で卒業され、高校時代は強豪である東海大仰星高校でラグビー部のマネージャーを務められました。大人数を抱えた強豪チームを支えるという経験は、どのようなものでしたか?
A:仰星時代のマネージャー経験においては、自身がプレーヤーだったころとは全く違い、今度は選手を支える側になりました。今までは、単純にラグビーのことだけを考えて来ましたが、支える側となり、時間や用具の管理、他者とのコミュニケーションのはかり方を学びました。ご存じの通り、東海大仰星高校は全国を目指すトッププレーヤー、監督たちですので、彼らの考え方や葛藤についても多くを学ばせていただきました。マネージャーを経験したことで、自分自身がより深いところまでラグビーを知ることができたのではないかと思っています。

*東海大仰星がサニックスワールドラグビーに参加した高校3年生の時。選手たちに囲まれて

*マネージャーとして頑張る愛琳さん。コロナの真っ只中でした。
今の目標を教えてください!
Q:ハイレベルな強豪校で選手たちをサポートする仕事もまた、素晴らしい役割ですね。仰星は、中学部も高等部も一緒に練習を行うことで有名ですが、その大人数を陰で支えるマネージャーやトレーナーたち、そんなスタッフの力無しでは全国への道も、日々のスキルアップも成し得ないと思います。当たり前ですが、どんな輝かしい一流選手でも、ひとりでできることなんて限られている、ということがよくわかります。マネージャー経験は、愛琳さんにとっても貴重な3年間だったのではないでしょうか。では、今の目標を教えてください。
A:今の私の目標は、語学力をよりスキルアップし、世界中を飛び回ることです。本当に沢山、やってみたいことがあります。世界を見ながら多くの人たちと出会い、今しかできないことにトライしていきたいと思います。そんな果てしない夢の中で、最終的に自分にしかできない何か、やりたいことを見極めていけたらと思っています。

*ニュージーランド留学中の愛琳さん

*ニュージーランドのEDEN PARKで、オールブラックスとアルゼンチンの試合観戦をした時の愛琳さん
クラブメンバーへのメッセージをお願いします!
Q:愛琳さんの夢は世界に向かって羽ばたいていますね。なんだか羨ましいです。高校卒業後に単身ニュージーランドへ渡り、二年間の語学留学を経て今は成田のグランドスタッフとして海外へ出かけていく人々のサポートに従事されていますが、近い将来にはまた愛琳さん自身が世界に飛び出していかれるのを楽しみにしています!
最後になりますが、甲東の子どもたちに向けてメッセージをお願いします。
A:こんにちは!西宮甲東ジュニアラグビークラブ卒業生の井口愛琳です。皆さんは、今、ラグビーをしていて沢山の悩み、苦しいこと、逆に嬉しいことがあると思います。私が小学生の時は、試合に勝てたことが無いくらい弱かったですが、それでもふりかえった時、本当にラグビーが楽しかったなぁということしか思い出せません。スポーツを続ける上で、勝つことも大切ですが、今の仲間やコーチ、育成会の方々すべての人と、ラグビーをできるこの時間を存分に楽しんでほしい、大切にしてほしいと思います。頑張ってください!
井口愛琳さん、貴重なお話をありがとうございました。
西宮甲東JRCでのラグビーが楽しかった!とふりかえってくださった愛琳さんがとても印象的でした。これからもご活躍を期待しています。また、甲東にも顔を見せてくださいね。